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LEGOレゴのなぞ42102ミニゼリオン編ブッシュ

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 この部品はブッシュと呼ばれ、テクニックシリーズではお馴染みの部品です。
何気ない小さな部品ではありますが、よく観察すると面白いことがたくさんわかります。
これらはレゴの大きな特長で、こんな小さな部品にもレゴ社は、その思いをしっかりと入魂しています。
今回は、それを紹介したいと思います。


要旨

・ブッシュは軸を留める機能部品だが、それ以外の機能もある。
・ブッシュをよく観察すると、製造に用いた金型のことがわかる
・レゴ社製品である証の識別が、手抜きなく記されている。

 

目次

 

 

この部品はどんな部品かな?

 名称を”ブッシュ”と言い、レゴ社の英語正式名称は”Bush For Cross Axle”と言います。
英語の”Cross Axle”の部分は、十字状の断面を持つ軸部品のことを示しています。
このブッシュは、十字断面軸の抜け止めやスペーサーなどに用いられる部品です。

 

両端の口元外側形状は、どんな意味があるのかな?

 では、観察を始めてみましょう。
まず両端の口元の外側形状が異なることがわかります。
1つは、丸い形状、です。
もう1つは、丸に4つ切欠の形状(丸切欠形状)です。

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 組立の説明書には、キチンと区別して図示されています。
しかし、完成の時点では、その口元の違いが、機能的に必要であったかと言うと
この42102のミニクラースゼリオンの場合は、必要ありません。
説明書では、右側に必ず丸切欠形状になるように図示されています。
説明書を作るしくみ(例えばアプリケーションとか)の関係だけかと思われます。
このまま組み立てると、完成の時に左右対称が崩れるので、
細かいデザインのことを言うならば、ちょっと不満な部分でもあります。


 さて、この丸切欠形状にはどんな意味があるのでしょうか?、
実は、この形状には連結の機能が隠されています。
42102には梱包されない部品ですが、レゴの一般的な部品の凸(ボッチョ)形状と連結することができます。
4つのボッチ(凸)の中央に組み付けることができます。
この部品を使うことで、ボッチョに軸を間接的に連結することが可能になります。
レゴ部品は、たくさんの連結機能を持たせてあり、作品の多様性が広がっています。
レゴ社の製品設計の思想には、脱帽ですね。

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 両側ともに丸切欠形状になっていれば、もっと連結できるのに。
と思ってしまいます。なぜしなかったのでしょうか
これは、想像ですが
1)製品の強度上の理由、
2)製品製造の樹脂射出成型工程での製造条件の理由
と思われます。

 

細い筋は何だろう?

 肉眼ではわかりにくいですが、拡大鏡(ルーペ等)で観察すると細い筋が見えます。
これは、部品を製造する工程の樹脂射出成型工程で使う金型分割の割面です。(ミキリと言います)
このミキリから、この部品を製造する金型は、4部品(可動/固定/2つのサイド)とわかります。


 また、丸切欠側端面外周に1カ所凹部があります。
ここには、ほんの小さな丸い傷のようなものがあります。
これは部品を成形する際に、金型の中に液状化した樹脂を吹き込むノズルの位置です。
金型での成形が完了した時に、切断する位置にもなります。
切断の高さは、工法上寸法がバラツキますので、一段下げて、レゴの組立に影響しないように配慮しています。

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 中央の十字穴の輪郭には、わずかに段差があるのがわかります。
これは金型の合わせ面の寸法のズレが発生し段差になったと思われます。(ハグミと言います)
中央の十字穴を金型の抜き勾配の関係で寸法が小さくなったことが原因かと思います。
金型の製作段階でハグミ分の寸法を見込んでおけば、ハグミは無くなります。
この辺りの設計思想は、また調べてみたいと思います。

 

部品の角部が丸いのはなぜかな?

 ミキリをやや内側にして、R0.5(半径0.5mm)程度の丸みを作っています。
ミキリをこの位置に持ってくることは、金型の構造上、手が込んだ造りになります。
もっと安価な金型を作りたければ、角を丸くしないで直角にしておけば、構造が簡単でき実現できます。

では、なぜこのようなことをするのでしょうか?
それは、組み立る方の安全に配慮しているからと思われます。
樹脂なので、やわらかい材質ではありますが、
指先に力を入れて部品を扱うと、角ばった鋭利な形状で皮膚が切れてしまう恐れがあります。

 

側面の窓はどんな意味かな?

 細長い窓が2カ所、設定されます。
目的は2つあるかと思います。
1つめは、扱いやすい組立力を維持するため、です。
穴を付けることで、全体を柔らかくし、
組立時や取り外し時にかかる力の最大値を下げ、安定させることができます。
2つ目は、デザインです。
レゴには、綺麗な色とたくさんの色と言う特長があります。
ブッシュと異なる色の軸を用いると、窓の部分のいろが際立ちます。
同じ色であれば、窓があることを意識しない全体バランスを作ることもできます。

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文字と数字が見えるけど、何かな?

 こんな小さな部品ではありますが、きちんとレゴの商標である”LEGO”の文字が表記されます。
この部品はレゴ社の製品です、としっかり主張しています。

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 ”13-04”という番号も表記されています。
前回のなぞ編でレポートした金型番号とキャビティ番号と思われます。
製品に番号を記すことで、どの金型キャビティで製造されたものかわかるようにしています。
製品に不具合があることが分かった時、どの金型キャビティで作ったか、
すぐに分かるようになっています。
(これをトレーサビリティと言います。)
製品製造の品質管理には相当に力を入れていることがわかります。
デザイン番号は、この部品では、表記を見つけることができませんでした。
探し出せないだけかもしれません。
下2桁部分”04”にアンダーバーがあります。
なにか意味のある表記と思われます。
わかったらレポートしたいと思います。

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まとめ

・ブッシュは軸を留める機能だけでなく、凸(ボッチョ)形状と連結することができる。
・細い筋のミキリ、ノズル跡、ハグミなど、樹脂成型金型の構造上の跡がわかる。
・レゴで遊ぶ人の安全を考え、角部の鋭利な形状を無くしている。
・こんなに小さな部品なのに、商標や品質管理の番号を手抜き無く表記している。

 

 

最後に

 今回は、金型のことに触れました。
分かりにくい部分もあったかと思います。
どこかで、この金型について、レポートをしたいと思います。

 

 

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